今回は、戦力外通告と自由契約の違いは何?任意引退やFAとの関連もご紹介!、という内容で書いていきます。
毎年10月になるとスポーツ紙や新聞を賑わせる「戦力外通告」「自由契約」「任意引退」という話題。
「戦力外通告」「自由契約」「任意引退」その言葉すべてにチームを去るという悲しいイメージがありますね。
ですが、これらの言葉には大きな意味の違いがあるようです。
では、今回も耳にした「自由契約」と「戦力外通告」との違いは何なのか?
そして、任意引退やFAとの関連についてもご紹介していきます。
戦力外通告と自由契約の違いは何?
おはようございます
昨日から戦力外通告が始まり巨人からは中島が来季の戦力構想から外れたと
ベテランで2000本安打まで残り72本とまじかだったが残念
骨折したのが残念だった
西武に戻ってそっちで引退試合をするのかな?本日もよろしくお願いしますpic.twitter.com/6AVVuKzAOy
— ゴマすり※奪回※ (@gomasuri06) October 2, 2023
ここでは、戦力外通告と自由契約の違いは何?という内容でお届けしていきます。
戦力外通告と自由契約の大きな違いは何なんでしょうか?
戦力外通告と自由契約の違いは
戦力外通告とは、所属する球団の意思として選手に伝えられるものです。
この球団の意思に対して、選手が選択することができるのが、自由契約と任意引退ということになります。
- 自由契約 : 現役を継続したい選手が選択するもの
- 任意引退 : 現役を引退する選手が選択するもの
簡単にご説明するとこのようになります。
球団の意思である戦力外通告と、その後の選手の選択肢である自由契約と任意引退の違いはおわかりいただけたでしょうか?
以下で、もう少し詳しくご説明していきます。
出場選手登録とは
戦力外通告と自由契約の違いをご説明する前に、この内容が前提となりますので書いておきました。
- 契約期間:2月1日~11月30日
- 支配下登録:70人(一軍の試合に出場できる)
- 一軍登録:29人(ベンチ入りメンバー、そのうち実際に出場できるのは25人)
この70人に入れない選手は育成選手として登録し、支配下登録を目指しています。
ソフトバンクホークスの千賀滉大投手や、甲斐拓也捕手が有名ですね。
戦力外通告とは
戦力外通告は、球団が所属する選手に対して、来年の戦力構想に入っていない為に、来季は契約を結ばないということを伝えることです。
先程の出場選手登録の説明から、「来年の2月からあなたとはは契約を結びません」ということを通告するということになります。
一般社会でいう「解雇通告」のようなもので、この段階ではまだ現状の球団に所属していることになりますね。
戦力外通告の時期
戦力外通告は期間によって、第一次と第二次と、通告の期間が二つに分かれています。
- 第一次通告期間 : 10/1〜シーズン終了の翌日までの通告
※10/1は固定ですが、終了日が毎年違う - 第二次通告期間 :CS終了の翌日〜日本シリーズ終了の翌日までの通告
※日本シリーズに出場したチームは、日本シリーズ終了の5日後
各球団の戦力外通告の報道が10月に多いのはこの為ですね。
戦力外通告が行われる理由
先程、ご説明したように、選手の契約期間は2月1日~11月30日、支配下登録は70人となっています。
毎年10月下旬に行われる12球団ドラフト会議において、各球団が指名し入団する選手の数を見込んだ70人を決定する為、今後の活躍を見込めない選手に対して戦力外通告を行うことになります。
ですが、単年契約の選手が大半を締めるプロ野球で、解雇と隣り合わせの選手はとても不安定です。
それらを緩和し、他球団への移籍や引退後の再就職を準備する為の期間として設定されたのが、戦力外通告ということになります。
また、戦力外通告は育成選手にも該当し、育成期間の上限3年を経過した選手は、戦力外通告を受けた後、改めて育成契約を結ぶことになります
自由契約とは
先程も少しご説明しましたが、自由契約とは、戦力外通告後に球団との契約を解除された選手が、現役を続行したいという意思がある場合に、各球団と自由に交渉し移籍しても良いという状態です。
言い換えると、まだ現役を続けたいが、契約先の球団が見つかっていない状態ということになります。
また、現役を続行したい選手の意志を考慮したうえで、球団が日本野球機構(NPB)に行う事務手続きを指すこともあります。
10月に戦力外通告を受けてしまうと、期限の11月30日まではトレード要員として球団に扱われる可能性もありますが、通告を受け12月になると上記のように自由に他球団と交渉することが可能です。
12月上旬に行われる12球団トライアウトは、これらの選手がわらをも掴む思いで毎年参加し話題を呼んでいますね。
戦力外通告と自由契約、球団と選手の意思を尊重し、事態を円滑にする為のものであることがよくわかりましたね。
任意引退やFAとの関連もご紹介!
【戦力外通告】
中日は5日、#岡野祐一郎 投手、#伊藤康祐 選手、育成の #松田亘哲 投手の3選手と来季の契約を結ばないと発表#dragons#中日ドラゴンズ pic.twitter.com/Q4pGoCnjwD— 東スポ 中日ドラゴンズ取材班 (@tospo_dragons) October 5, 2023
ここでは、任意引退やFAとの関連もご紹介、という内容で書いていきます。
先程、選手の意思であり選択肢である自由契約の内容をご紹介しましたが、もう一つ選手の意思で行える選択があります。
それが、任意引退です。
任意引退とは
自由契約と同様に選手の意向であることに違いはないですが、任意引退とは戦力外通告を受けた選手が、現役を引退する場合に選択するものです。
自由契約との大きな違いは、任意引退をしてもその選手に対する保有権は、元の所属球団に残っており、任意引退をした選手は自由に他球団への移籍はできないという点です。
そしてこの任意引退には、別の要素も含まれています。
それは、選手が引退をするふりをして、他球団との契約をすることを阻止する為です。
↓
所属球団に怪我を理由に引退を告げる(本当は怪我をしていない)
↓
所属球団が引退を認め、自由になる
↓
移籍したい球団と契約する
とこのような身勝手な契約を防止する為にも、任意引退はあり、選手の保有権はもとの球団に残っているんですね。
更に、任意引退は、他球団の監督やコーチ、スコアラー、スカウトになる場合、アマチュアの指導者になる場合にも一定の段取りを踏む必要があります。
その際に、「任意引退→自由契約」の申請が必要となってきます。
球団、選手の意向を尊重し、身勝手な契約を阻止する決まりもある。
いつも、ぼんやりと聞いていましたが、しっかりとした仕組みがあることに驚きました。
FA(フリーエージェント)との関連
自由契約とFAとの関係についても少しご説明していきます。
FA(フリーエージェント)とは
- 選手があらゆる球団と選手契約ができる権利
- 145日以上1軍登録されているシーズンを8シーズン経過し権利を取得
- 複数年契約が可能
- 現在の所属球団に対して、自分に有利な交渉ができる
- 行使して獲得球団が無いと自由契約になる
- 獲得球団での年俸が高騰する
- 移籍先の球団から選手を1人選んで獲得することができる人的補償がある
というようにFAにはメリットもデメリットもあります。
FA自体には選手の待遇改善の要素が多いですが、選手が職を失ってしまう可能性もあるということですね。
こういった事が起こる為、FAを行使した選手に対しても自由契約という手段が適用されることがあります。
FAを行使した選手を自由契約にしておけば、交渉をした球団は年俸の大幅な上昇を回避でき、人的補償の必要もなくなります。
その事によって、交渉がスムーズに行なえ、選手が職を失うことを最大限に防げるという面もあるんですね。
FAを行使した選手を自由契約にするというのは、球団側のメリットだけを考えたものと思われがちですが、結果的に選手の事も大切に考えた方法ということになります。
まとめ
戦力外通告を受けた中で
需要が高そうな投手達。恐らく1番人気は中川颯。
小林も他球団では1軍争いが出来そう。岡野・笠原・佐藤も二軍でイニングイートが出来ることから需要は高そう。
鍵谷・田中の経験豊富なベテラン中継ぎの動向にも注目。 pic.twitter.com/DrSjoHjPsC
— A.ロッドニキ (@botgaiaku) October 5, 2023
今回は、戦力外通告と自由契約の違いは何?任意引退やFAとの関連もご紹介、という内容でお届けしてきましたがいかがでしたか?
結果が全てのプロ野球で来年の事は全く保証されていません。
そういった世界で、戦力外通告と自由契約、任意引退やFAとの関連は非情な一面と、選手のこれからを手助けする一面の両方を考えて作られている決まりだということがよくわかりましたね。
明日何が起こるかわからない中で戦う選手たちには、これらの制度を最大限に利用して、最高のパフォーマンスを見せてもらいたいと思います。